ダイバーシティ2.0を読み解き、自己成長に繋げようVOL.2

誰もがいつまでも輝ける職場づくりを目指す
~株式会社ファンケルの
アクティブシニア社員とは?~
無添加化粧品やサプリメントなどの健康食品で知られる株式会社ファンケルの経営理念は、「もっと何かできるはず」。お客様に喜んでいただくことをすべての基準とし、不安、不満などの世の中の「不」のつく事柄を解消し、安心、安全、やさしさを追求する企業です。
また、ファンケルは、積極的な働き方改革を進めていることでも知られています。
会社を支える社員に対しても、独自の取り組みを打ち出し、2015年には「女性が輝く先進企業」に選ばれ、「内閣府特命担当大臣表彰」を受賞。さらに2017年4月には新雇用区分として、「アクティブシニア社員」を導入したことで話題になりました。
今回は、株式会社ファンケルグループサポートセンター人事部人事企画グループ課長熊谷洋介さん、担当課長和田聡美さんに、「アクティブシニア社員」についてお話を伺いします。
(敬称略)
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「アクティブシニア社員」とは?

アクティブシニア社員という新雇用区分を導入することにより、これまで65歳で契約満了していた嘱託社員やパート、契約社員をその区分にかかわらず再雇用できる制度です。勤務日数や時間など、本人の希望を勘案して会社が決めることができます。また、アクティブシニア社員には、定年年齢がないことも大きな特徴になっています
現在、ファンケルでは、アクティブシニア社員として働いている方は6名、今年新たに3名が加わる予定になっています。(2018年7月現在)

――アクティブシニア社員導入の背景を教えてください。
熊谷:
社員のもっと長く働きたいという思いと、会社側の長く働いていただいた方の経験やスキルを失いたくないという思いがあり、それがうまく合致した結果だと認識しております。また、将来的には、日本の労働人口が減っていくことは明らかですので、優秀な労働力を確保したいという会社の思いもあります。
――アクティブシニア社員に期待していることは何でしょうか。
熊谷:
継続して働いてもらうことで、マンパワーとして助かっているのはもちろんなのですが、特に重きを置いてほしいと思っているのは、後輩の育成です。今のアクティブシニア社員の世代が入社した頃は、まだ会社が小さく、社員が創業者である池森と机を並べて仕事をしていました。そのため、弊社がとても大切にしている、経営理念や創業理念などのいわば「ファンケルスピリット」を一番、池森から受け継いでいる世代なのです。その「ファンケルスピリット」を業務を通じて、これからの若い方に伝えていってほしいと思っています。
――コミュニケーションがさかんな会社なのですか。
和田:
弊社では基本的に社員同士は役職名では呼びません。一般社員でも創業者の池森のことも「池森さん」と呼びます。そういう意味では、とても社員の距離が近い会社だと思います。また、毎週行っている放送朝礼では、池森や社長の島田をはじめ、各部署長が交代で話しをすることで、その人、その部署が何を考えているかなど、共有する仕組みが整っていると思います。
――情報がオープンなのですね。
熊谷:
実は、アクティブシニアを導入する際も、20歳代から50歳代の社員代表にアンケートを取っています。会社がやろうとしていることと、現場の思いに乖離があってはよくないので、弊社では社員の声を参考することが多いのです。その時は、定年を延長するという議論もあったのですが、さまざまな選択肢を社員に持ってもらうために、アクティブシニア社員という形になりました。
――選択肢とは、どういうことでしょうか?
熊谷:
新雇用区分が導入されてから定年退職をした方のほとんどが、アクティブシニア社員を選び、ほぼフルタイムで働いています。ただ、絶対にそうしなければいけないというわけではなく、今までは仕事ばかりで、なかなかできなかった社会貢献をしたいという思いを持つ方もいます。アクティブシニア社員であれば、会社と合意すれば働く時間を短くすることや、日数を減らすなどの柔軟な働き方が可能です。それにより、仕事ばかりではなく、他のことに時間を使うこともできます。
――自分がアクティブシニア社員世代になった時、その道を選びますか?
和田:
まだ、その時をリアルには感じてはいないのですが、今はアクティブシニア社員として働きたいと考えています。定年退職することで、社会から離れる不安もあるでしょうし、なによりも社内の人とのつながりを持っていたいという思いがあります。
熊谷:
現時点では、何とも言えないですね。アクティブシニア社員を選ぶかもしれませんし、別のことをやりたいと思っている可能性もあります。それは仕事だけではなく、社会貢献活動のような全く別の経験かもしれません。仕事を続けることを含め、可能な限り、いろいろな経験をしたいと思っています。だから、アクティブシニア社員という制度ができたことで、選択肢が増えたことは良いことだと思っています。
――今後について教えてください。
熊谷:
アクティブシニア社員については、取り入れたばかりの雇用区分なので、まだまだブラッシュアップが必要です。現在は、65歳で正社員としての定年を迎えますが、定年の延長という意見も社内では出てきています。
また、アクティブシニア社員以外でも、社員にとって、より一層働きやすい環境を作っていきたいと思っています。介護やケガをした場合の仕事の両立についても会社としてフォローできるよう、今、検討をしているところです。
――ありがとうございました。