VOL.1
従業員の介護離職を防ぐために企業ができること
厚労省「両立支援実践マニュアル」の紹介
スペシャリスト 沢村 香苗
沢村 香苗 (さわむら かなえ)
株式会社日本総合研究所 日本総合研究所創発戦略センター スペシャリスト(行動科学) 保健学博士
研究機関を経て、株式会社日本総合研究所に入社。ギャップシニア・コンソーシアム(2014-現在)活動において、主に高齢者の心理に注目したマーケティング手法を開発中。
株式会社日本総合研究所 日本総合研究所創発戦略センター スペシャリスト(行動科学) 保健学博士
研究機関を経て、株式会社日本総合研究所に入社。ギャップシニア・コンソーシアム(2014-現在)活動において、主に高齢者の心理に注目したマーケティング手法を開発中。
加速する介護と仕事両立の悩み
平成25年の雇用動向調査によると、介護看護を理由とする離職者は9万人を超え(うち女性が6万6千人)、平成22年時に比べて1.8倍に増加しています。高齢化の進行に伴う要介護者の増加や、共働き世帯の増加といった社会的な背景を考えると、ますます介護と仕事の両立に悩む人は増えることが予想されます。
「勤務先に介護を相談7.2%」の現状から
厚生労働省が平成24年に企業における介護と仕事の両立支援に関する研究事業を実施しています。調査結果からは、40代~ 50代の就労者の4割が5年以内に親の介護に直面する可能性があると考えており、親の介護がかなり現実的なものとして認識されていることがわかります。いっぽうで、現在の勤務先で介護をしながら仕事を続けることについては、35.2%が続けられない、42.2%が続けられるかわからないと回答しています。
遠からず介護の問題に直面することを予期しながら、両立についてはイメージができていないのが平均的な就労者の姿といえるでしょう。実際に介護をしている就労者のうち、手助けや介護について勤務先に相談しているのは7.2%にすぎません。家族やケアマネジャーに相談している人が大半ですので、すでにある程度軌道にのっていることを反映しているのかもしれませんが、勤務先がこういった相談に乗れると就労者が認識していない可能性もあります。
遠からず介護の問題に直面することを予期しながら、両立についてはイメージができていないのが平均的な就労者の姿といえるでしょう。実際に介護をしている就労者のうち、手助けや介護について勤務先に相談しているのは7.2%にすぎません。家族やケアマネジャーに相談している人が大半ですので、すでにある程度軌道にのっていることを反映しているのかもしれませんが、勤務先がこういった相談に乗れると就労者が認識していない可能性もあります。
介護の実態調査票や職場全体の働き方改革のツールも
こういった実態をふまえて、厚生労働省は「企業における仕事と介護の両立支援実践マニュアル」を整備しています。マニュアルは、実際に介護に直面した従業員への支援だけでなく、事前に従業員が抱えている介護の有無や、制度(自社の介護休業制度や国の介護保険制度)に関する理解度を把握し、自社の両立支援制度を見直して取り組むべき課題を決めるところから始まっています。調査票や研修資料といったツールも豊富に用意されていますから、今から取り組む企業にとっては大きな助けとなることが期待できます。また、管理職向けの働き方改革の工夫を考えるツールが含まれており、両立をする就労者への対応だけでなく、職場全体で働き方を考えることも視野に入っています。
就労者から相談があった場合の対応は
①「相談窓口」での両立課題の共有
②企業の「仕事と介護の両立支援制度」の手続き等の周知
③働き方の調整
④職場内の理解の醸成
⑤上司や人事による継続的な心身の状態の確認
⑥社内外のネットワークづくり
が主な内容となっています。
企業は就労者とともに仕事と介護の両立プランを策定し、主に仕事側の環境調整を行うという立場です。介護については介護保険サービスの利用が前提となっていますが、介護保険サービスの範囲が縮小する可能性が高いことや、要介護者ではなく就労者本人の負担を軽減するようなサービスを利用することが両立の助けになる可能性が高いことを考えると、今「保険外サービス」として注目が集まっている家事代行等の自費サービスを企業側が取りまとめ、情報を提供したり、一部補助することも有効な手段ではないでしょうか。
就労者から相談があった場合の対応は
①「相談窓口」での両立課題の共有
②企業の「仕事と介護の両立支援制度」の手続き等の周知
③働き方の調整
④職場内の理解の醸成
⑤上司や人事による継続的な心身の状態の確認
⑥社内外のネットワークづくり
が主な内容となっています。
企業は就労者とともに仕事と介護の両立プランを策定し、主に仕事側の環境調整を行うという立場です。介護については介護保険サービスの利用が前提となっていますが、介護保険サービスの範囲が縮小する可能性が高いことや、要介護者ではなく就労者本人の負担を軽減するようなサービスを利用することが両立の助けになる可能性が高いことを考えると、今「保険外サービス」として注目が集まっている家事代行等の自費サービスを企業側が取りまとめ、情報を提供したり、一部補助することも有効な手段ではないでしょうか。